『報功心血』 |
『報功心血』(函館市中央図書館所蔵)という明治期以降に元松前藩士族らによって執筆された歴史書。
13代藩主崇広以降の幕末維新期の動乱期を主に描く。
どうしても読めない字があった。
編は「馬」
つくりが「象」(のように見える字)
こんな漢字はおそらくない。
使われ方は2字の熟語で「ナントカ然」。
前後の脈絡から意味を推察して調べていったところ、
遽然(きょぜん)
と
驟然(しゅうぜん)
の2文字の編とつくりを取り違えたのではないか、との結論に達した。
どちらも「にわかな様」「あわただしい様」を意味する。
同じような意味なので、書き手が混乱したのだろう。
そもそも、使用頻度の高い字ではない。
どちらでも意味は通じるのだが、「じゃあ適当に」というわけにはいかない。
誤字であることは明らか。
候補の文字は2つ。
どちらの候補文字の字義も文脈的には合致する。
書き手はどちらの文字をイメージしていたのか。
編とつくり、うっかり間違いやすいのは、どっちだろうか?
そもそも書き手が文字を間違えて覚えていたという可能性はないのだろうか?
一文字に一日振り回されてしまった。