被災建築物危険度判定と文化財 |
被災建築物に対して行われる危険度判定の結果、「要注意」、「危険」と判定された建築物が即座に取り壊し対象となってしまうことのないよう配慮して欲しいという主旨だ。
被災建築物応急危険度判定とは
応急危険度判定は、大地震により被災した建築物を調査し、その後に発生する余震などによる倒壊の危険性や外壁・窓ガラスの落下、付属設備の転倒などの危険性を判定することにより、人命にかかわる二次的災害を防止することを目的としています。
その判定結果は、建築物の見やすい場所に表示され、居住者はもとより付近を通行する歩行者などに対してもその建築物の危険性について情報提供することとしています。
また、これらの判定は建築の専門家が個々の建築物を直接見て回るため、被災建築物に対する不安を抱いている被災者の精神的安定にもつながるといわれています。
(「応急危険度判定とは」応急危険度判定協議会HPより)
ようするに、この判定は、被災した建築物が二次的に人命に危険を与える可能性をランキングしたもので、建築物本体、特に躯体の損壊度合いなどとは必ずしも一致しないということだ。
窓ガラスの落下なども含めて、その建物にとどまったり、近づいたりすることのリスクを明示することがその目的のようだ。
建築物の取り壊しや修復については、危険度判定の後に被災度区分判定を行い、残存耐震性能を明らかにした上で、建築物の処遇について検討する、そいう手順を踏むようだ。
被災建築物危険度判定にかかる文科省と国交省の見解
文化庁は通知に先立ち、国土交通省について照会を行っている(平成23年4月4日付23財参事第2号「被災建築物応急危険度判定の判定結果について」)。
被災建築物応急危険度判定とは、余震などによる二次的災害を防止するため、倒壊の危険性や外壁・窓ガラスの落下などの危険性を判定するものであり、一律かつ即座に取り壊しを求めるものではないという理解をしているが、そのような理解で良いか確認させていただきたい。
これに対して国土交通省からは、
「貴見ののとおりである旨、回答する」
との回答が示されている(平成23年4月6日国住第30号)。
自治体や建築業者、自衛隊などで、被災建築物応急危険度判定の意味が誤解されるケースが多いのだろう。
重文を誤って解体撤去するようなことはないのかもしれないけれど、登録物件などでは考えられそうだ。