遺物写真撮影 |
60カット程度なのでたいした作業量ではないのだが、専用の写場を確保できるわけではないので、準備が大変だ。
【俯瞰写真のセット】
(1)床に1畳サイズの発泡スチロールを敷く
(2)発泡スチロールの上に、コンテナ(いわゆる中コン)を3段積んでガラス板を載せる
(3)コンテナの内側3面をコンテナ3段分の高さに切った発泡スチロールで囲む
(4)1面はトレペを垂らす
(5)ガラス板の天板は、撮影スペース以外は黒バック紙で覆う
(6)バックのライティングは350W2灯を寝かせたマイクスタンドにライティングクリップで固定
(7)メインライトは500W1灯
メインライトは立面、俯瞰ともに右上からとしている
大きく伸びた三脚を利用して、メインライトのデフューズ用にトレペを貼る
(8)天井は、写り込み防止の黒バック紙を貼る
【立面写真のセット】
(1)会議テーブルを3台、壁際に並べる
(2)うすコン2枚をそれぞれ2段重ねに積む
(3)市販の簡易デフューズボックスをうすコンの上にかぶせる
(4)白バック紙をダブルクリップでデフューズボックスに固定
(5)トップ・メインともに500W1灯ずつ
本当はメインが350Wの方がバックの抜けが良いのだけれど、光量不足となるため500Wを使用している
(6)メインライトのトレペはマイクスタンドを流用して設置
以上のセッティングについては、
井上直夫 1992「タングステンライトで遺物を撮影する~間違いだらけの遺物撮影~」『埋文写真研究』vol.4
井上直夫 1993「タングステンライトで遺物を撮影する~間違いだらけの遺物撮影・俯瞰編~」『埋文写真研究』vol.4
牛嶋茂 2000「俯瞰撮影」『埋文写真研究』vol11
を参考に、試行錯誤の末、現在の方法に落ち着いている。
特にコンテナを積んで行う俯瞰撮影は、牛嶋(2000)さんの方法をそのまま真似させていただいている。
【露出】
かなりインチキなやり方で測定している。
(1)露出計で入射光を測定
(2)露出計で計測した数値を使ってデジカメでテスト撮影
(3)ヒストグラムを見ながら適正露出を算出
(4)デジカメの感度はISO200、使用カメラのフィルム(フジT64)感度はISO64なので、再び露出計に戻ってISO64の適正露光量に先の補正量を加え、さらに、近接撮影のため0.5EVのプラス補正を行う。
これまでこのやり方で大きなミスはなかったけれど、今回はどうなるか。
小規模自治体の担当者の宿命だけれども、専用の道具や設備を使うことができない。
財政的な制限もあるけれど、専用の道具、たとえば撮影台やカメラスタンドなどは置き場に困る。
普段はしまっておいて、使うときにさっと出せるようでないといけない。
できれば、ほかの用途にも使えることが望ましい。
結局、小規模自治体の担当者は、「戦略として」、あり合わせの道具を使うことを選択するのだ(負け惜しみか?)。
とはいえ、写真撮影は最低限ライト1灯あれば可能だし、それで光をきれいに回す工夫をすればよいのだと思う。
プロのように幾灯もライトを使うには、それぞれのライトを完璧にコントロールできなければ意味がない。
それならば、メイン1灯に集中してライティングを考えた方が良い写真が撮れる可能性が高いんじゃないかと思ってる。
極端なことを言えば、良いレンズと良い三脚があれば後はなんとでもなると思うのだけれども。