地方交付税と時の政権と厚沢部町の貯金残高 |
その後、民主党政権時代に交付税額は徐々に回復し、民主党政権末期にはほぼ小泉改革以前の水準に戻っていました。
今、安倍総理大臣になってからはまた微減傾向となっています。
小泉改革時の地方交付税の減り方がすごい
上は厚沢部町の地方交付税歳入の変化です。
前年は25億3千万円あった地方交付税が、2003年に20億9千万円まで引き下げられました。
一般家庭で言うと、手取り25万円くらいの月給がいきなり20万円くらいまで下げられた感覚でしょうか。
それから5年くらいは交付税は低空飛行を続けますが、福田総理大臣、麻生総理大臣のときに少しずつ回復し、2009年に政権をとった民主党政権が終わる2012年ころにはほぼ小泉さん以前の水準にもどっていました。
貯金がどんどん増えていく
小泉改革で危機感をおぼえた自治体は、交付税不信におちいります。
典型的な行動は積立金の増額となってあらわれました。
交付税の突然の増減にも対応できるように、一定の貯金をもっておこうということです。
厚沢部町も例外ではなく、2007年に地方交付税が回復傾向をみせるとどんどん積立金を増やしていきました。
2012年の野田内閣で交付税の増額は頭打ちなり、その後の第二次安倍政権では交付税が減額傾向となったにもかかわらず、積立金は増え続けています。
厚沢部町の積立金残額と交付税額の関係
厚沢部町では交付税が回復をはじめた2007年ごろから積立金が増え始め、2010年では一気に5億円も積立金を増やしています。
このときの経常一般財源は前年比1億8千万円の増額ですから、収入増加によらない積立金が3億円以上もあるというのは驚きです。
2012年以降は地方交付税の増額は頭打ちになり、むしろ減少傾向にありますが、積立金は順調に増え続けています。
企業の内部留保の問題と似てるよね
自治体がお金をあまり使わずどんどん貯金を増やしていくのは企業の内部留保がどんどん増えていくメカニズムと変わらないように思います。
要するに、社会が低成長かつ不安定なので、将来に向けた投資を見合わせつつ、現金をもっていないといつ吹き飛ばされてしまうかわからない、ということで自治体も企業もお金を貯め続けるのだろうと思います。
しかし、民間企業はともかく、自治体が再分配機能を果たさずにこうやって内部留保を一方的に貯めこむというのはどうなのでしょうか?
お金をかけて改善しなければならない問題は色々あると思うのですが、企業も自治体も生き残るだけでせいいっぱいの時代ということなのかもしれません。
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