当路鹿子舞の見どころはシラサギの橋渡りにあった |
今回は、当路鹿子舞が当番団体として運営にあたったいただき、トップバッターで演舞しました。
鹿子舞の流れ
厚沢部川流域の鹿子舞のストーリーはだいたい決まっています。
呼び方は、少しずつ違っていますが、おおむね下のとおりです。
みちゆき→ぼっこみ→ダイドコ→橋渡り→山上がり→メジシ争い→おいとまごい
第1幕 山の周りで鹿が遊んでいる
第2幕 倒木の橋をわたる
第3幕 山にのぼる
第4幕 メジシをめぐってオジシとシラサギ(これもオスの鹿)が喧嘩をする。
第5幕 仲直りして帰っていく
当路鹿子舞の解釈
当路鹿子舞ではダイドコ→橋渡り→山上がりの一連の流れは、
「人間に山を追われた鹿が、新たなすみかを求めて移動する場面」と説明されるそうです。
上俄虫鹿子舞や土橋鹿子舞では、そのような大きなストーリーは語られません。
オジシの橋渡り
橋渡りと呼ばれる演目は、当路鹿子舞では警護棒(写真中央に立っている鹿子の足元の棒)がヤマ(写真中央のヒバ)に対して垂直に置かれます。
これが倒木の橋をイメージするものです。
土橋鹿子舞ではゴザなどが「橋」のシンボルとして置かれるようです。
最初にオジシが慎重に倒木の橋を渡る様子が演じられます。
(動画の4:05〜6:10まで)
足で倒木が腐っていないかどうかを確かめ、倒木表面の苔を剥がして安全を確かめる様子を演じているといいます。
尻込みする他の鹿子
オジシが安全を確かめると(動画6:06ぐらいのところでオジシがヤマの周りをくるりとまわって無事に渡ったことを示すようです。)、続いて残りの2匹をつれて一緒に渡ろうとします。
しかし、2匹は尻込みして渡ろうとしません。
(動画6:18〜5:50)
シラサギの橋渡り
ようやくシラサギ(もう一頭のオス鹿)が倒木の橋を渡ろうとしますが、とてもおっかなびっくりでなかなか渡れない様が演じられています。
シラサギのおっかなびっくりな演技が橋渡りのクライマックスなのだそうです。
これは説明を受けなければわからないなあ、と思いました。
郷土芸能の保存と観客
郷土芸能を保存するということは、演じる人だけではなくて、それを理解する観客が必要なんだ、ということを痛感しました。
10年以上鹿子舞を見続けていますが、当路のシラサギが橋渡りで怖気づいてるなどということは、全然知りませんでした。
別の機会に、鹿子舞のビデオ鑑賞会を実施したいと思います。
ビデオをみながら、演者の説明を受ける機会を設けたいですね。
平成23年新春鹿子舞交流会での当路鹿子舞の演舞
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