オープンデータと写真のライセンス |
公立はこだて未来大学さんの技術協力をいただいて、「オープンデータ」として文化財マップの情報を提供したいと考えています。
ライセンス表示は「CC BY」とすることが6月24日に開催された総会で承認されました。
問題となるのは、写真のうち「パブリックアート」のライセンス表示です。
パブリックアートとは
パブリックアートの定義は著作権法第46条に規定があります。
「パブリック」かどうかは設置場所で判断され、第45条第2項に定められた
「街路、公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置する」
ものとされています。
「アート」の定義は法第10条4号に定める「絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物」です。
パブリックアートの写真の問題
著作権法第46条では、
(パブリックアートは)「次に掲げる場合を除き、いずれの方法によるかを問わず、利用することができる」
と定められ、原則として自由に複製等利用できるとされています。
しかし、同条第4号では
「専ら美術の著作物の複製物の販売を目的として複製し、又はその複製物を販売する場合」
という例外規定があり、必ずしも自由に利用できるわけではありません。
著作権法第46条第4号の趣旨は
(1)写真等の販売を目的とした複製
ポスターや絵はがき販売を目的としたような写真撮影がこれに該当するようです
(2)複製(撮影)した写真の販売
ポスターや絵はがきとして売ることが該当するようです
の2点を著者の許諾なしに行うことを規制したものです。
以上のことから、パブリックアートについてはCC BYライセンスで提供することは難しいといえます。
単なるCC BYライセンスとは別のライセンス表示の工夫を考えてみました。
参考にしたのはWikipediaの「屋外美術を被写体とする写真の利用方針」です。
対象となる物件の定義
以下の4要件を満たすものはCC BYでは提供できないと考えます。
(1)著作物であること
→創作性のある絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物(法第10条4号に定める著作物)
(2)街路、公園その他一般公衆に開放されている屋外の場所又は建造物の外壁その他一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置されるものであること(法第45条2項に定める場所)。
(3)CC0、CC BY、CC BY-SA相当の利用許諾が得られていないものであること
(4)著作権保護期間内にある著作物であること
→製作者の死後50年以内の作品であること
この要件を満たす物件については、掲載方法やライセンス表示を変えなければいけません。
以下のような掲載基準を考えてみました。
パブリックアート掲載基準
(1)画像解像度の制限
パブリックアート全体が収まる画像範囲を31万画素以下となるようにする。
たとえば480ピクセル×640ピクセル
=307,200画素(セーフ!!)
(2)出所の表示
被写体の題号、著作者名を表示する。
例『太陽の塔』(岡本太郎)
例『館城址碑』(揮毫 松前之廣)
(3)パブリックアートの著作権に関する注意書き
下記のような一文を加えてパブリックアートが自由に利用できるわけではないことを明示する。
「被写体となるパブリックアートは著作権法により保護されています。著作権法第46条第4号の規定により、著作者に無断で本作品を利用した複製物を販売することはできません。HPへの掲載や販売目的以外の資料等への掲載には利用できます。」
(4)写真のライセンス
写真そのもののライセンスはCC BYとする。
二次利用者が掲載された写真を販売しなければ著作権法に抵触しません。
したがって、著作権法上許される範囲での二次利用(HPへの単なる掲載や資料等への掲載)においては、CC BYライセンスで提供します。
この 記事 は クリエイティブ・コモンズ 表示 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。