『ヒノキアスナロ人工林の広葉樹林化勉強会』in厚沢部 |
日時:2013年2月3日(日)10時00分〜15時00分
場所:土橋自然観察教育林森林展示館前集合
講師:今 博計氏(北海道総合研究機構 林業試験場)
内容
10時00分〜12時00分 現地視察
13時00分〜15時00分 広葉樹林化勉強会
午前中は土橋自然観察教育林内のヒノキアスナロ人工林を視察。
午後は、林業試験場の今博計氏を講師とした学習会。
教育林内のヒノキアスナロ人工林
昭和27年以降ミズナラやトドマツ、トチノキの生育する天然林内に植樹がなされ、その後、除間伐等の施業がなされた痕跡はあるものの、継続的な管理は行われてこなかった。
そのため、林内には下層植生がほとんどみられない。
部分的に、カエデやミズナラなどの稚樹が生育している。
広葉樹林化には強度の間伐が必要だが、林冠開放に伴って光環境が急激に回復するとササが侵入し、広葉樹稚樹生育の阻害要因になると考えられる。
部分的に生育している陰樹の稚樹の更新を促進しつつ、ササの侵入を抑える手法を学ぶことが今回の目的である。
さいわい、森林総合研究所が刊行した『広葉樹林化ハンドブック2010』、『広葉樹林化ハンドブック2012』はこのような問題をわかりやすく解説してくれる。
(「広葉樹林化のための更新予測および誘導技術の開発」)
『ハンドブック』を教科書として学習を進める予定だ。
問題の多い記念植樹
土橋自然観察教育林では平成11〜平成13年に記念植樹が行われている。
平成11・12年の記念植樹は檜山森林管理署が行った。
平成13年の記念植樹は厚沢部町が教育林の取得記念として行った。
のべ3ヶ年の植樹によりヒノキアスナロ約1,000本が植樹された。
平成12年の記念植樹を報じた新聞記事
平成13年の記念植樹を報じた新聞記事
ヒノキアスナロは暗い環境でも生存できるので、スギやトドマツの人工林と比較して暗い林床が形成される。
そのため、下層植生が生育できず、林床が裸地になるケースが多い。
裸地化した林床は表土流亡や、最悪土砂崩れの原因ともなる。
人工林では継続的な除間伐等が不可欠なのだが、ヒノキアスナロは生育期間が長く、行政的な感覚でいうと「超長期」にわたる管理計画が必要となる。
長期的な視点を欠いた安易な植樹はきわめて問題が多い。
これらの記念植樹地も数十年後は、裸地化したヒノキアスナロ人工林と同じ変遷をたどることが予想される。
記念植樹値の今後の取扱いを勉強することも、今回の勉強会の目的である。