平成22年館城跡祭り |
午前中の催しは館城戦死者の慰霊祭でスタート。
(中井文夫厚沢部町教育委員会教育長)
箱館戦争当時の扮装をしたパレードと模擬戦闘
ドカンと一発
こっちもドカン
近くにいるとかなりの衝撃。
スタッフが観客に道路から降りるよう指示していたが、10m以内で発砲されると本当に危険。
午後のイベントは宝引き
ゲリラライブ的なおじさんバンド
地元館小学校児童による花笠踊り
そのほか剣道大会、町指定無形民俗文化財「当路鹿子舞」の演舞、演歌ステージなど。
みっちりと詰まったスケジュールだ。
例年、剣道大会に従事しており、一日を通して祭りに参加することがなかったが、今年度は業務をかなり軽くして貰って一日、祭りを楽しんだ。
さて、史跡を会場としたこのようなイベントの評価については、史跡の本質的価値と直接的には無縁であることから、「史跡の活用」とは積極的には評価したくないような気持ちもある。
山中鹿次(2009「歴史遺産を活用したランニング大会の同行と課題」『遺跡額研究』第6号)のいうように「歴史関係者には平城京跡などで野球やランニングをしている光景に違和感を覚える場合が多い」のである。
だが、「史跡の活用」をそれほど原理主義的に考えることは得策ではないだろう。
前出の山中は、史跡を活用したマラソン大会を開催することの是非について、「一般市民の立場としたら自由に使える公園として、利用できてこそ保存、活用することに税金を当時、保存することへの理解が得られると考えるべき」(山中前掲書)として、史跡をその本質的価値と直接無縁の活用に供することに肯定的である。
渡邊定夫(2006「遺跡保存整備の限界」『遺跡学研究』第3号)は史跡整備によって新たな観光名所を創出される期待はあまりもてないことを指摘した上で、「整備された遺跡は何より<地域の施設>であ」り、「地域住民にとってまずは利用し易い、近づきやすい整備が何より大事である」と述べる。
その上で、整備された史跡には「遺跡が創る独特の造形とも云うべき空間があり」、「学習目的が無くとも<遺跡のある景観>はレクリエーションに訪れた人に他にはない空間の印象を与えるはずである」と述べる。
そのようにして、遺跡空間が「周辺地域と連続しながらも何か違った風景に出会えるとしたら、遺跡の景観構成はそれだけで人に喜びを与える」と述べるのである。
要するに、利用者の遺跡への興味の有無にかかわらず、史跡空間が市民にとって気軽に利用でき、なおかつ周辺地域と異なる史跡独特の雰囲気を感じられるように史跡は整備されるべきということなのである。